Art & Culture
アレックス・カッツの大規模回顧展 "Alex Katz: Gathering" : グッゲンハイム美術館
Alex Katz at Guggenheim Museum
アレックス・カッツ: Gathering
2022 12.21 - 2023 02.20
カッツが生涯を過ごした街、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された大規模回顧展。フランク・ロイド・ライトがデザインした螺旋状の空間をいっぱいに使って展示されている。展示会場とは別のエントランスに大胆に展示されているのが、雨の中、傘をさすカッツの妻エイダの肖像画。この作品は2019年、フィリップスオークションで約4.7億円で落札され、当時のカッツのオークションレコードを更新した。カッツは今までエイダの肖像画を250枚以上描いている。
展示はニューヨークの地下鉄に乗る人々を描いたスケッチなど1940年代後半から1950年代の初個展などの作品から始まり、中盤からは彼の独特のスタイルである透明感ある色使いに大胆にトリミングした構図で構成された数々の肖像画とカットアウト彫刻など、代表的な作品群が並ぶ。後半にかけてはオールオーバーで描いた花や植物から、風景画を中心に構成されている。螺旋状の展示を終え、最後に飾られるのは最近の作品の数々。2022年に制作された水面を描いた最新作までがグッゲンハイム美術館全体に展示されている。
創作活動のスタートとなる1940年代から現代の2022年までの80年にもわたる彼の人生が、螺旋状の一本の線として振り返っていく様子はまさにグッゲンハイム美術館でしか実現できない展示であり、彼の創作活動への思いと歴史を体感できる素晴らしい展示となっている。
アレックス・カッツ
アレックス・カッツは1927年ニューヨーク・ブルックリン生まれ、クイーンズのセント・オルバンズで育つ。1946年から1949年に、ニューヨークのクーパーユニオン大学で学び、1949年から1950年からメイン州のスカウヒーガン絵画彫刻学校では、実物から絵を描くことに触れ、それは今日の彼の活動の主軸となっている。
カッツは、画家としての最初の10年間で、自分のスタイルを見つけるために1000枚の絵を破壊したことを認めており、それらを経て彼のスタイルに辿り着いている。
カッツは妻のエイダや友人など身近な人物を単色の背景の上に平面的に描いた肖像画や画面全体に構成された植物や風景画で知られ、透明感ある色彩と大胆にトリミングした構図が特徴で、その大胆でシンプルな色彩は、現在ではポップ・アートの先駆けとして見られている。
1954年、ニューヨークのロコ・ギャラリーにて初の個展を開催。1974年、ホイットニー美術館は「Alex Katz Prints」展を、さらに1986年にはアレックス・カッツ回顧展が巡回された。作品はテート・モダン、ニューヨーク近代美術館も所蔵。