展覧会 · Upper East Side
NYアッパー・イースト・サイドでダン・ヴォー展、自由の女神と星条旗を解体
ニューヨークのヴィルチェク財団で、ダン・ヴォーの個展「Rebuilding Liberty」が2027年6月25日まで開催中。自由の女神の断片彫刻と、薪で組んだ星条旗の新作を通じ、象徴の意味の揺らぎを問う。入場無料、事前登録制。
文・NBT編集部 · 2026-10-15

ヴィルチェク財団(アッパー・イースト・サイド)で、ベトナム生まれのデンマーク人コンセプチュアル・アーティスト、ダン・ヴォー(1975年生まれ)の展覧会「Rebuilding Liberty」が開かれている。会期は2026年6月22日から2027年6月25日まで。米国建国250周年と同財団の設立25周年にあわせた企画で、民主主義、移民、国民的アイデンティティ、帰属意識といった、いまのアメリカに続く問いを扱う。

出品は、「We the People」シリーズ(2011〜2016年)の彫刻3点と、財団のギャラリーのために委嘱された新作「Live Free or Die」(2026年)。自由の女神像と星条旗という、米国で最もよく知られた二つの象徴を、形を断片化し素材を置き換えることで見直す。

「We the People」は、自由の女神の実物大レプリカを断片ごとに再構成した作品だ。各断片は原作の特定の部位に対応するが、単独で置かれると何の部分か分かりにくくなる。オリジナルの像と同じ打ち出し技法(repoussé)で上海にて制作され、数百の断片に分けられて世界各地の施設やコレクションに散らばった。全体を再現せず、二度とひとつの像に戻らない作品として構想されている。ドイツで構想し、中国で作り、世界へ流通する点も、労働や交換、移動のネットワークを映す。ヴォーは難民としてデンマークで育ち、ベトナム、フランス、米国の歴史が絡み合う像に惹かれたという。作家は「表面の厚みはわずか2ミリと知り、驚いた。像のイメージは実体より強い」という趣旨を語っている。

「Live Free or Die」は、積んだ薪と鋼鉄の星で組んだ星条旗だ。題名は独立13州のひとつ、ニューハンプシャー州の公式モットーに由来する。薪のストライプの荒い質感と不揃いな積み方が、旗に通常結びつく幾何学的な秩序と対照をなす。作家の指示書に従い、設置のたびに構成が変わりうる。ジャスパー・ジョーンズの「Flag」(1954〜55年)への呼応も指摘されている。
展覧会には小冊子が付く。ヴィルチェク財団会長リック・キンゼルの序文のほか、ジョシュア・チェンバース=レットソンとスザンヌ・メトラーによる二編のエッセイを収める。ヴィルチェク財団は、米国における移民の貢献への理解を広め、芸術と科学を支援する団体だ。
入場は無料で、事前登録が必要。同財団のウェブサイトから時間指定の入場枠を予約できる。無料のデジタル展示ガイドと音声体験も、Bloomberg Connects で提供される。







