展覧会 · SoHo
トム・サックス「31 Rue Cambon」 手作りのシャネル店が問いかけたもの
アーティストのトム・サックスが自身のスタジオに作った、シャネルのパリ本店の手作りの複製。合板や段ボール、レゴで再現したスーツやバッグ、宝飾品で何を問いかけたのか。会期は10月10日に終了、図録と冊子は今も手に入る。
文・NBT編集部 · 2026-10-15

アーティストのトム・サックスが、マンハッタンの自身のスタジオ(245 Centre Street)をまるごとシャネルの店に変えたインスタレーション「31 Rue Cambon」が、10月10日に会期を終えた。タイトルはパリのシャネル本店の住所。9月11日から木・金の夜と土曜の午後だけ無料で公開され、入場できる人数はごく限られていた。

店内に並んだのは、シャネルのスーツ、バッグ、靴、サングラス、宝飾品、包装やディスプレイまで、すべて手作りの複製だ。素材は合板やアクリル、段ボール、テープといった身近なもので、宝飾品にはレゴや自転車の反射板も使われている。ガブリエル・シャネルのパリのアパルトマンを思わせる家具や、アンビエントやホラー映画の音楽に昔のシャネルの広告音声を重ねたサウンドトラックまで用意された。

スーツ一点ずつに「Coco」「Naomi」「Diana」といった名前が付けられ、どのシーズンのどのデザイナーの服を元にしたかが記されている。値打ちはロゴにあるのか、素材にあるのか、それとも手で作る労働にあるのか。展示の公式サイトでサックスは、消費したいという欲が「つくることへの愛」に置き換わる、と語っている(原文:Lust for consuming is replaced with love of making.)。なお、シャネル自身はこのプロジェクトに関わっていない非公認の作品だ。


サックスは1998年にもシャネルのロゴを使った「Chanel Guillotine」を発表しており、今回はその延長にある。キュレーションはファッション史家のコルビー・ムグラビ。展示は終わったが、公式サイトでは図録のPDFを無料で公開しており、展示に合わせて作られた冊子は公式ストア(store.tomsachs.com)で販売中だ。チャイナタウンとソーホーの境目にあるスタジオ周辺には、偽ブランド品で知られるキャナル・ストリートもある。手作りの「偽物」の店がこの場所に開いた意味も含めて、記録に残しておきたい展示だった。

- 場所
- Tom Sachs Studio
245 Centre Street, New York, NY 10013
Google マップで開く - 開催日
- 9月11日(金)
- 価格
- Free




