展覧会 · Red Hook
NYレッドフックのPioneer Worksで、タオマス・A・ライティネンがタコの皮膚を没入映像に
ブルックリン・レッドフックのPioneer Worksで、ヘルシンキ拠点のライティネンによる個展「Siphon」が11月22日まで開催中。タコの映像、ガラス彫刻、大坪光泉の生け花、超音波サウンドが融合する。

ブルックリン・レッドフックのアートセンター「Pioneer Works」で、ヘルシンキを拠点とするアーティスト、タオマス・A・ライティネンの個展「Siphon」が開かれている。会期は2026年11月22日まで。10年以上にわたるタコの知能、睡眠、意識の研究から生まれたマルチメディア・インスタレーションだ。キュレーターはガブリエル・フローレンツ。

中心となるのは、複数チャンネルの映像作品。タコの擬態する模様や皮膚の質感、色の変化を万華鏡のように映し出す。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の神経科学者サム・ライターとの協働で、同大学が記録したタコの睡眠時の映像と作家自身の撮影素材を組み合わせた。大きく引き伸ばして連続した風景に編集され、複数のタコの体がひとつのうねる絵画的な地形へと溶け合っていく。作家は、目で見るだけでなく「体で感じる」作品だと語っている。
会場中央には水を満たした水槽が置かれ、吹きガラスの管状の彫刻が沈められている。タコのための仮説的な提案として作られた造形だ。ここに、86歳の日本の生け花作家・大坪光泉が場所に合わせた構成を加える。埼玉のスタジオ「Flower Planet」を拠点に60年以上活動し、野菜や廃材も用いる前衛的な作風で知られる。海洋生物学と現代彫刻、伝統的な花の文化が思わぬ形で響き合う。
3層吹き抜けのメインホール全体には、空間オーディオ作品「8Eternal」が広がる。タコの8本の腕になぞらえ、ケニア出身の作曲家ニョカビ・カリウキのボーカルを取り入れ、8音の「オクタコード」で構成された。8基の超音波スピーカーが細く絞った音のビームを放ち、来場者の立ち位置によって音の断片が現れては消える。
発端は、現代の技術インフラを支える銅の神話と地政学への関心だった。銅を血液に使うタコへと研究が及び、日本・沖縄の研究者との出会いにつながったという。2024年秋のPioneer Worksでのレジデンシー中に素材が練り上げられた。日本の研究機関と日本の花の伝統が関わる点も、日本語圏の読者には見逃せない。
休館日は11月5日と11月19日(会期中の残り)。プログラム開催のため、事前にカレンダーで確認するとよい。
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