展覧会 · Paula Cooper Gallery · Chelsea
「Art is for the Spirit」展、ポーラ・クーパー・ギャラリーで開催 宮本和子らが参加
チェルシーのポーラ・クーパー・ギャラリーで10月29日から、家と自伝をテーマにしたグループ展を開催。宮本和子、ジョエル・シャピロ、ロバート・ゴーバー、デイヴィッド・ハモンズら8作家が参加する。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

チェルシーのポーラ・クーパー・ギャラリー(521 West 21st Street)で、2026年10月29日から12月12日まで、グループ展「Art is for the Spirit: Records of the Self」が開かれる。オープニングレセプションは初日の10月29日午後6時から8時。企画はアイヴィー・シャピロが手がけた。
参加作家は、ジェニファー・バートレット、ジョナサン・ボロフスキー、ロバート・ゴーバー、デイヴィッド・ハモンズ、宮本和子、リー・モートン、エリザベス・マーレー、ジョエル・シャピロの8人。テーマは「家」と「自伝」を、自己を地に足のついたものにする手がかりとして捉えること。企画者自身の子ども時代の記憶を出発点にしながら、1970年代以降のニューヨークのアートシーンで、ポーラ・クーパーと作家たち、その家族が互いに深く結びついていた様子も浮かび上がらせる。
展覧会の起点のひとつは1969年。この年、ジョエル・シャピロとボロフスキーは同ギャラリーで初めて作品を発表した。シャピロは指で細かな列状の跡を刻んだ指紋のドローイングを、ボロフスキーはグラフ用紙に連続する数字を書き続けて無限に近づこうとする連作「Counting」の最初の作品を出している。二人はのちに異なる道を歩むが、どちらも単純な反復行為で時間と過程を記録する点で通じている。シャピロはその後の個展で、鋳鉄やブロンズの小さな彫刻を床や壁に据え、「家」の形をさまざまに変奏した。棚に置かれた家、半分に切られた家、ジャコメッティへのオマージュとして回転し砕ける家などである。
バートレットは1970年代初頭、白いエナメル塗りの正方形の鋼板に点を描く絵画に、とがった屋根の子どものような家を取り入れ始め、のちにその家はキャンバスを離れて床に立体として現れる。ゴーバーは1970年代後半にクーパーのもとでプレパレーターとして働きながらドールハウスを制作。自宅を建てた父の技術を応用したもので、手仕事で作られた想像の世界の力をあらためて実感したという。
自己を記録する別の方法を示すのが、ハモンズ、宮本、モートンだ。ハモンズは1968年から、肌を直接紙に押し当てるボディ・プリントを制作し、圧力を受ける生身の身体を美化せずに写し取って、過去と現在の不当な扱いを示唆する。東京出身の宮本和子は、自然素材や編まれた形によって制作の過程と場所を刻み、身につける彫刻が着る人を生活環境に結びつける。モートンは1972年にニューヨークへ移った直後に、子どもの世界をのぞかせつつ不穏さも漂う物語的なドローイングを描いた。
出品作に共通するのは、後にしてきたものへの静かな郷愁である。日本ゆかりの作家・宮本和子の作品を、同時代の仲間たちの中で見られる機会としても注目したい。
- 状況
- これから
- 会期
- 10月29日 – 12月12日
- 作家
- Jennifer Bartlett, Jonathan Borofsky, Robert Gober, David Hammons, Kazuko Miyamoto, Ree Morton, Elizabeth Murray, Joel Shapiro
- 会場
- Paula Cooper Gallery
521 West 21st Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- ジョエル・シャピロの指紋ドローイングと、さまざまに変奏される「家」の小彫刻
- ボロフスキーの連作「Counting」の初期作品(1969年)
- ハモンズのボディ・プリントと、ゴーバーのドールハウス
- 宮本和子の自然素材による編まれた形と身につける彫刻




