展覧会 · MoMA PS1 · Long Island City
エステバン・カベサ・デ・バカ、MoMA PS1の中庭に壁画「Ancestral Dreams」
MoMA PS1の中庭で、画家エステバン・カベサ・デ・バカが壁画「Ancestral Dreams」を公開中。メソアメリカの図像、労働運動の歴史、思索的な未来像を織り込んだ作品で、2027年春まで無料で見られる。
文・NBT編集部 · 2026-10-16
ロングアイランドシティのMoMA PS1が毎年依頼する「プラザ・ミューラル」の第2弾として、画家エステバン・カベサ・デ・バカ(1985年サンディエゴ生まれ)の新作壁画「Ancestral Dreams」が2026年6月25日に公開された。展示期間は2027年春まで。中庭の壁面を舞台にした屋外作品で、入場は無料だ。
作品の核にあるのは、物理的な壁が裂けて別の次元が開くというイメージである。作家にとって、移民コミュニティを擁護することと土地を守ることは切り離せない。その考えが、画面全体の構想を支えている。
着想源は、いまも続く全米農場労働者組合(UFW)の運動と、1960年代後半にラテンアメリカで生まれた解放の神学である。解放の神学はマルクス主義の思想も取り入れながら、貧困などの抑圧に向き合った。画面の中心には、抵抗と生き延びる力を示す混淆的な図像が据えられている。黒い鷲、数珠を絡めた手、神の加護を表す太陽の光芒などだ。
これらのモチーフは、大気のような抽象表現や、トウモロコシ・豆・カボチャで表される「三姉妹」のトーテム的な表現と織り合わされる。三姉妹は南北アメリカの先住民文化で糧をもたらす存在とされてきた。時代の異なる要素を一つの画面に重ねている。メキシコ壁画運動、大恐慌期の公共事業促進局(WPA)による壁画、地元クイーンズの5Pointzの歴史も参照されており、公共の広場を社会的な発言と共同の想像の場として捉え直す試みだ。
カベサ・デ・バカはクイーンズと米国南西部を行き来して制作する。これまでにMoCA Tucson(2023年)、ドローイング・センター(2019年)、アムステルダム王宮(2018年)などで作品を発表した。クーパー・ユニオンでBFA、コロンビア大学でMFAを取得し、NYFA絵画フェローシップ(2021年)やチヴィテッラ・ラニエリのフェローシップ(2024年)も受けている。企画はアソシエイト・キュレーターのエレナ・ケテルセン・ゴンサレス。マンハッタンから地下鉄で行ける美術館の中庭なので、観覧の合間に立ち寄りやすい。
- 状況
- 開催中
- 会期
- 6月25日
- 作家
- Esteban Cabeza de Baca
- 会場
- MoMA PS1
22-25 Jackson Avenue, Long Island City, NY
Google マップで開く - 開館時間
- 12時〜18時(掲載日の開館時間)
- 入場
- Free
- 見どころ
- 黒い鷲、数珠を絡めた手、太陽の光芒など、抵抗と生存を示す混淆的な図像
- トウモロコシ・豆・カボチャで表される「三姉妹」のトーテム的モチーフ
- メキシコ壁画運動、WPA、5Pointzの歴史への参照
- 2027年春までの長期展示、入場無料


