展覧会 · MoMA PS1 · Long Island City
NYクイーンズのMoMA PS1で「モダン・スポットライト:フレッド・ウィルソン」
ニューヨーク・ロングアイランドシティのMoMA PS1で、フレッド・ウィルソンのガラス彫刻《To Die Upon A Kiss》(2011)を紹介。2003年ヴェネチア・ビエンナーレ米国代表の経験に根ざす作品で、2027年9月6日まで。
文・NBT編集部 · 2026-11-05
ロングアイランドシティのMoMA PS1で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションから作品を紹介する「モダン・スポットライト」シリーズの新たな展示として、フレッド・ウィルソンが取り上げられている。会期は2026年11月5日から2027年9月6日まで。企画はアソシエイト・キュレーターのジョディ・グラフが担当した。
展示されるのは、2011年制作のガラス彫刻《To Die Upon A Kiss》。サイズは約178×174×174センチで、MoMAが所蔵する作品だ。アグネス・ガンドがマリア・マーティンに敬意を表して寄贈した。タイトルは、シェイクスピアの戯曲『オセロー』で主人公が最後に語る台詞の一節に由来する。16世紀のヴェネチアを舞台に、黒人の将軍オセローが悲劇的な結末へ向かう物語である。
ウィルソンは2003年、ヴェネチア・ビエンナーレのアメリカ代表に招かれた。その際に着想を得たのが、何世紀にもわたるヴェネチアの美術表現に登場するアフリカ系の人々だった。絵の中には描かれているのに、本人たちの言葉による記録は歴史に残っていない。ウィルソンはこうした存在に目を向けた。
制作では、ヴェネチア沖のムラーノ島のガラス職人と協働した。黒いガラスで手の込んだシャンデリアを作り、それぞれにオセローの最後の独白の一行を題としてつけている。今回展示される作品も、このプロジェクトに連なるものだ。
ウィルソンは、美術館の収蔵や展示のあり方、そこで誰の歴史が語られ、誰が見落とされてきたかに向き合う作家として知られる。ガラスという素材と、文学作品の言葉が結びついた本作は、ヴェネチアの歴史や芸術の豪華さの裏側にある不在を考える手がかりになる。
MoMA PS1は入場無料で、住所は22-25 Jackson Avenue。ページ上の本日の開館時間は12〜6時。11月7日にはウィルソンらを祝うオープンハウス(10時〜18時)も開かれる。
- 見どころ
- 《To Die Upon A Kiss》(2011):MoMA所蔵のガラス彫刻、約178×174×174cm
- タイトルはシェイクスピア『オセロー』最後の台詞に由来
- 2003年ヴェネチア・ビエンナーレ米国代表時の、ムラーノ島の職人との黒いガラスのシャンデリア制作が背景
- 11月7日のオープンハウスでもウィルソンを紹介







