展覧会 · The Studio Museum in Harlem · Central Harlem
マーク・ブラッドフォード「Untitled (A–Z), 2010」スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレム
スタジオ・ミュージアム・イン・ハーレムで、マーク・ブラッドフォードの2010年作《Untitled (A–Z)》を展示。ロサンゼルスの商店ポスターを重ねて削った26点の紙作品で、2027年1月3日まで。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

ハーレムの中心、西125丁目144番地にあるスタジオ・ミュージアム・イン・ハーレムで、マーク・ブラッドフォードの《Untitled (A–Z)》(2010年)が2027年1月3日まで展示されている。アルファベット26文字をそれぞれ一点の紙作品として仕上げた連作で、一文字ずつが独立した作品になっている。
ブラッドフォードはロサンゼルスを拠点とするアーティストで、街で拾い集めた素材を層状に重ね、削り、abstraction(抽象)へと変えていく手法で知られる。本作の土台にあるのは、彼が長く続けている「マーチャント・ポスター」のシリーズだ。作家が暮らす南ロサンゼルスの地域で、商店などが貼り出した広告を集めて素材にしている。
ポスターには「Stop Evictions(立ち退きをやめろ)」や「Affordable Daycare(手頃な保育)」といった言葉が並んでいた。ブラッドフォードはこうした貼り紙を重ね、表面を削ることで、元のメッセージを断片だけが残る状態にする。読み取れる情報は減るが、紙の層や削り跡には、地域で暮らす人々が日々向き合う切実な事柄の痕跡が留まっている。
文字だけを取り出すことで、それらは意味を伝える道具というより象徴に近い存在になる。A から Z まで並ぶ26点は、素材が集められた地域の人々の生活に影響を与える社会的・経済的な仕組みを示唆している。言葉の意味が薄れた分、その背景にある構造が見えてくる構成だ。
展示はアソシエイト・キュレーターのイェレナ・ケラーが企画した。会場の様子は写真家クリス・グレイヴスによる設営写真でも紹介されている。同館はアフリカ系アーティストの拠点として活動する美術館で、ハーレム散策の際に立ち寄りやすい。会期は年末年始をまたぐので、冬の訪問にも向く。
- 状況
- 開催中
- 会期
- 〜1月3日
- 作家
- Mark Bradford
- 会場
- The Studio Museum in Harlem
144 West 125th Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- A〜Zの26文字を一点ずつ表した紙作品の連作
- 南ロサンゼルスの商店ポスターを重ねて削った「マーチャント・ポスター」が土台
- 「Stop Evictions」など元の文言は断片のみ残る
- 2027年1月3日まで、企画はイェレナ・ケラー





