展覧会 · Hannah Traore Gallery · Lower East Side

ジェームズ・パーキンス、ハンナ・トラオレで個展「Nonsites Revisited」

ロウアー・イースト・サイドのハンナ・トラオレ・ギャラリーで、ジェームズ・パーキンスの個展が開催中。絹を屋外に置き、大西洋やメキシコ湾、砂漠の自然が刻んだ痕跡を絵画に仕立てた作品群と、初の屋内インスタレーションを紹介する。

文・NBT編集部 · 2026-10-16

ジェームズ・パーキンス、ハンナ・トラオレで個展「Nonsites Revisited」
Hannah Traore Gallery

ニューヨークを拠点とするアーティスト、ジェームズ・パーキンスの個展「Nonsites Revisited」が、ロウアー・イースト・サイドのハンナ・トラオレ・ギャラリーで2026年9月17日に始まった。同ギャラリーでは2度目の個展にあたる。タイトルにある「ノンサイト」は、ロバート・スミッソンが1968年に提唱した概念で、パーキンスはこれを約10年にわたり自らの制作の軸にしてきた。

制作の出発点は、本人が「ポスト・トーテム構造」と呼ぶ装置だ。木枠に絹を張り、屋外に数カ月から数年置く。土に埋め、水に沈め、砂漠や森、山、浜辺にさらすことで、日差しや塩、風、砂、土、植物といった環境の力が絹の上に痕跡を積み重ねていく。作家が手を入れるのは構造物の置き方と置き直しだけである。素材は放置すれば生分解するもので、作家が「この瞬間」と決めたところで保存される。絹は枠から外されて張り直され、絵画になる。作家は、環境が生む跡について「作者の座を分かち合えることを誇りに思う」という趣旨を語っている。

今回の作品は、ファイア・アイランド、メキシコ湾、ソノラ砂漠、ユタ州の山と塩原、そして大西洋の真ん中で形づくられた。《I'm Tied in Knots Over This》と《Life Line》は「Nonsite: Atlantic Passage」から生まれた。2022年のルート・デュ・ラム(サン・マロからグアドループまで3,542海里の単独大西洋横断レース)で、スキッパーのコンラッド・コルマンの艇に絹を載せ、13日間の航海で風と潮にさらしたものだ。《Engulfed in Love: An Eagle's Ode to Lucio Fontana》では、ファイア・アイランドに置かれていた絹に、ワシが中央に3本の裂け目を入れた。ルーチョ・フォンタナの切り裂かれたカンヴァスを思わせる作品である。

展示の見どころは、ギャラリー奥の部屋の《Chord》(2026年)だ。この展覧会のために構想された初の屋内インスタレーションで、天窓の下にポスト・トーテム構造を置く。本来は屋外で進む変化が、会期中もギャラリー内で続く。床置きの彫刻には、ハドソン・バレーで嵐に倒れた松が使われている。映像作品《At The Oceans Edge, I Feel Like Everyone Else》(2025年)は、スタジオと風景のあいだの往復をたどる。ほかに《Creosote》(2025年)、《Pining for Love》(2023年)、《Gulf Nonsite Left》《Gulf Nonsite Right》(ともに2026年)などが出品される。

パーキンスの関心は、バーネット・ニューマンやマーク・ロスコの抽象から、スミッソン、ロバート・アーウィン、ジェームズ・タレルらのランドアートまで、絵画と大地の芸術の歴史にある。そこに環境への責任という視点を加える。前回の個展「BURYING PAINTING」では、地球を「私たちが共有する物体」と語った。今回はその続きとして、あらゆる土地とそこに暮らす人々を等しく尊重するための比喩としてノンサイトを位置づけている。

ギャラリーの開廊は火曜から土曜の11時から18時。住所は150 Orchard Street。

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状況
開催中
会期
9月17日
作家
James Perkins
会場
Hannah Traore Gallery
150 Orchard Street, New York, NY
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開館時間
火〜土曜 11:00〜18:00
見どころ
  • 《Chord》(2026):天窓の下に置かれた作家初の屋内インスタレーション。会期中も変化が続く
  • ルート・デュ・ラムの大西洋横断レースに同行した絹から生まれた《Life Line》《I'm Tied in Knots Over This》
  • ワシが絹に3本の裂け目を入れた《Engulfed in Love: An Eagle's Ode to Lucio Fontana》
  • ハドソン・バレーの倒木の松を用いた床置きの彫刻と、映像作品《At The Oceans Edge, I Feel Like Everyone Else》