展覧会 · International Center of Photography · Lower East Side
ライア・アブリル、ICPで「強姦と制度の失敗」展 米国初公開
スペイン出身の作家ライア・アブリルが、長期プロジェクト「女性嫌悪の歴史」の第2章を米国で初めて紹介。性暴力を許してきた法や制度に目を向け、写真・証言・資料・音と映像で構成する。会期は2027年1月11日まで。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

ロウアー・イースト・サイドのInternational Center of Photography(ICP)で、2026年10月15日から2027年1月11日まで、ライア・アブリルの「On Rape and Institutional Failure(強姦と制度の失敗)」が開かれている。女性に対する暴力の歴史をたどる長期プロジェクト「A History of Misogyny(女性嫌悪の歴史)」の第2章にあたり、米国で全体が紹介されるのは初めてだ。キュレーターはICPの展覧会部門アソシエイト・ディレクター、サラ・イコウが務める。
アブリルは1986年生まれ。写真、テキスト、映像、音を使い、生政治とジェンダーの問題を調査に基づいて扱う作家である。作品は25か国以上で展示され、ポンピドゥー・センター、フォト・エリゼ、ヴィンタートゥール写真美術館、MACBA、ソフィア王妃芸術センター、MNAC、V&Aなどが所蔵する。著書に『The Epilogue』『Lobismuller』、「女性嫌悪の歴史」シリーズの『On Abortion』『On Rape』『On Mass Hysteria』がある。フォム・パウル・ホイフ賞、RPSフード・メダル、アパーチャーのブック賞、スペイン国民写真賞なども受けている。
出発点は2018年のスペインでの事件だ。5人の男が若い女性を暴行し、保釈で釈放された。のちに起訴内容は、より刑の軽い性的嫌がらせとされ、加害者が撮影した動画は、被害者が同意していた証拠として扱われた。この判断はスペイン史上最大規模のフェミニスト抗議を呼び、性犯罪関連法の見直しを求める声が上がった。アブリルは、なぜこれほどの司法の失敗が起きるのかを探るため、法、歴史、心理学、政治の資料を調べ始めた。
展示の特徴は、被害者ではなく制度に焦点を移している点にある。調査の過程で見つかった地図、建築、彫刻、医療器具、武器など、性暴力にまつわる歴史的な物は、アブリルが「コンセプチュアル・ポートレート」と呼ぶ簡潔な写真として示される。法や慣習が強姦の文化をどう支えてきたかを可視化する試みだ。重要なシリーズでは、制度の代役となる衣服や制服を撮影し、一人称の証言と並べる。制服は、制度に裏切られた過去・現在・未来のすべての被害者を象徴するという。ほかに、音や映像、インスタレーションも加わる。
このプロジェクトは2020年、ハーヴェイ・ワインスタインらへの告発が相次いだ直後に初めて展示された。#MeToo運動から10年が近づくなか、イコウは、責任と正義を考える機会になることを期待している。会場では、内容に心を乱された来場者向けに、相談窓口などの情報へのリンクが案内されている。入口はラドロー・ストリート84番地にある。
- 状況
- 開催中
- 会期
- 10月15日 – 1月11日
- 作家
- Laia Abril
- 会場
- International Center of Photography
79 Essex Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- 「コンセプチュアル・ポートレート」と呼ばれる、地図・医療器具・武器など歴史的な物の写真
- 制度の代役としての制服を撮影し、一人称の証言と並べたシリーズ
- 音・映像・インスタレーションを含む、米国初公開の「女性嫌悪の歴史」第2章
- 2018年のスペインの事件を出発点にした調査





