展覧会 · Karma · Chelsea

イヴォンヌ・ジャケット「From the Air」展、チェルシーのKarmaで開催

2023年に亡くなったイヴォンヌ・ジャケットの、Karmaでの初個展。1971年から2016年までの絵画と紙の作品を通じ、空からの視点を主題と方法として深めた歩みをたどる。会期は10月31日まで。

文・NBT編集部 · 2026-10-16

イヴォンヌ・ジャケット「From the Air」展、チェルシーのKarmaで開催
Karma

チェルシーのギャラリーKarmaで、2023年に亡くなったアメリカの画家イヴォンヌ・ジャケット(1934–2023)の個展「From the Air」が開かれている。同ギャラリーでのジャケット初の個展で、会期は10月31日まで。1971年から2016年に制作された絵画と紙の作品が並び、50年以上にわたって上空から世界を見つめた画家の歩みを追う。雲や都市、耕された畑が、線と色の絡み合うパターンとして描かれる。

ジャケットの空撮的な視点の出発点は、変わった見え方への関心にあった。1960年代には窓越しの景色、床に置かれた息子のおもちゃを見下ろす構図、マンハッタンのロフトの天井を見上げる構図など、斜めの角度から身の回りを描いた。1969年にカリフォルニア州サンディエゴへ飛行機で向かった後、より高所からの眺めに関心を移していく。初期の水彩《Airplane Window, Clouds and Hills》(1976年頃)は、楕円の窓枠越しに、雲と緑やベージュの畑のパッチワークを見せる。一方、パステルの《Madison Paper Co.》(1988年)では窓枠が消え、工場の風景が見る者の目に向かって持ち上がるように傾く。翌年にはこの主題を油彩《Madison Paper Co. II》として描き直し、鮮やかな色と細かく分かれた筆致で表した。

1970年代半ば以降、ジャケットはメイン州上空に飛行機をチャーターし、夜のマンハッタンをヘリコプターで飛び、ワールドトレードセンターの高層階からも描いた。最初は木炭とパステルで、眼下に流れるものを形と模様、色のブロックに置き換え、のちに記憶と想像をもとにそれらを点描風の絵画へ発展させた。コロラド、カリフォルニア、香港などへの旅は、各地の地形やインフラを画面に取り込んでいる。夜景《Route One, Maine》(2008年)は、画面が軸に対して傾き、空へ昇るような動きを感じさせる。主役である光の列はにじむ光輪をまとい、暗い地面に星のように散っている。

晩年のジャケットは、飛行機の高度からではなく、地上に降りた視点で描き続けた。1989年のインタビューでは、自身の作品が高く離れた位置から「日常の中の人の気配」へ向かったと語っている。

展覧会には、1981年にジャケットとエドウィン・デンビーが刊行した文芸誌『Aerial』の第2号のマケット(原本)も出品される。アトリエで見つかったもので、ジョン・アッシュベリー、フランク・オハラ、エイリーン・マイルズらが寄稿した同誌の続編にあたる。展覧会にあわせ、Karma Booksがジャケット財団と協力して、そのファクシミリ版『Aerial (vol. II)』を刊行した。

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状況
開催中
会期
9月3日 – 10月31日
作家
Yvonne Jacquette
会場
Karma
549 West 26th Street, New York, NY
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開館時間
火〜土曜 10時〜18時
入場
Free
見どころ
  • 《Airplane Window, Clouds and Hills》(1976年頃):飛行機の窓越しに見える雲と畑の水彩
  • 《Madison Paper Co.》(1988年)と翌年の油彩《Madison Paper Co. II》の見比べ
  • 夜景《Route One, Maine》(2008年):傾いた画面に光がにじむ
  • 文芸誌『Aerial』第2号のマケット原本を展示