展覧会 · Paula Cooper Gallery · Chelsea
エリック・N・マック、パウラ・クーパー・ギャラリーで布による新作個展
テキスタイルを主素材に絵画の枠組みを問い直すエリック・N・マックが、チェルシーのパウラ・クーパー・ギャラリーで新作を発表。自立型と壁面型の絵画、天井から布が降りる展示空間が見どころ。会期は10月24日まで。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

チェルシーのパウラ・クーパー・ギャラリー(534 West 21st Street)で、エリック・N・マックの個展「You Red The Shirt Off My Back」が開かれている。会期は2026年10月24日まで。同ギャラリーでの2度目の個展で、自立型と壁面型の新作絵画に加え、会場の建築に呼応したインスタレーションが並ぶ。
マックは布を主な素材として、絵画の約束事を根本から考え直してきた作家だ。近年はニューヨークのアメリカ芸術文学アカデミーとオハイオ州コロンバスのウェクスナー芸術センターで個展を開き、ケンタッキー州ルイビルのスピード美術館や、ファイアアイランドのBOFFOでレジデンシーも経験している。
作品は平面性を呼び起こしつつ、それを崩す。壁に掛けたもの、キャンバスの支持体である金属の木枠に巻きつけたもの、壁に直接ピンで留めたものがあり、さらに建築空間へ自由にはみ出していく。サム・ギリアム、ロバート・ラウシェンバーグ、クリストとジャンヌ=クロードら、絵画を環境的な設置へ広げた先達の流れを、現代の視点で引き継ぐ試みである。素材は新品とヴィンテージの布で、質感も色も重さもさまざま。ファッションや文化的な参照を帯びた布が重なり合い、動と静、透明と不透明、量感と平面、無地と柄のあいだを行き来する。
制作はまず布のしなやかさから始まる。自身のアーカイブにある衣類や、生地店や古着店で集めた布を、切り、裂き、染め、縫い、貼り、留めて新たな構成にする。元の形は見えにくくなるが、素材の個性は読み取れる。この「見分けられること」と「抽象化」の緊張が制作の核で、作家はそれを「レンズに背を向け、自分自身の姿を抽象化する身振り」と表現する。
今回は、作家が「ハイブリッドなレディメイドの構造体」と呼ぶ、ステンレス製の特注の支持体も加わる。壁や天井からは布が浮かぶように吊られ、折れ、垂れ下がる。ギャラリー中央では、薄手のメッシュとプリント地が天井から降りて視線を遮り、来場者の動きを促す。どの角度から見ても作品の全体は一度に見えず、ある面が現れると別の面が隠れる。
展覧会名は作家自身の文章に由来する。ジャージの背番号、ブランド、ファッション誌の服の解説文、通りを歩く母子の後ろ姿といった情景を通じ、背中しか見られない存在の「半分だけ見える」状態を描いている。作品を読み解く手がかりになりそうだ。
- 状況
- まもなく終了
- 会期
- 9月10日 – 10月24日
- 作家
- Eric N. Mack
- 会場
- Paula Cooper Gallery
534 West 21st Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- ギャラリー中央で天井から降りるメッシュとプリント地のインスタレーション
- ステンレス製の特注構造体と布が出会う「ハイブリッドなレディメイド」
- 木枠に巻く・壁にピンで留める・空間へ伸びるなど多様な絵画の形
- 作家自身の文章に由来する展覧会タイトル





