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エミリー・メイ・スミス、ペッツェルで新作絵画展「Transit of Venus」

エミリー・メイ・スミスの新作絵画展がチェルシーのペッツェルで10月24日まで開催中。擬人化したほうきやぶどう、目玉のモチーフが人・動物・植物の混成体へと変わり、労働や階級、ジェンダーを問う。

文・NBT編集部 · 2026-10-16

エミリー・メイ・スミス、ペッツェルで新作絵画展「Transit of Venus」
Installation view, Emily Mae Smith, Transit of Venus, Petzel, 2026. — Petzel

チェルシーの520 West 25th Streetにあるペッツェルで、エミリー・メイ・スミスの新作展「Transit of Venus」が開かれている。会期は9月17日から10月24日まで。同ギャラリーでの個展は2回目にあたる。

スミスは1979年テキサス州オースティン生まれで、現在はニューヨーク州北部を拠点とする。2024年にはブリュッセルのマグリット美術館で、ルネ・マグリットの作品と並べる形の回顧的な展覧会が開かれた。過去にはディジョンのル・コンソーティアム(2018年)、ハートフォードのワズワース・アセニアム美術館(2019年)、サバンナのSCAD美術館(2020年)、上海のPond Society(2023年)などで個展を行っている。作品はホイットニー美術館、ブルックリン美術館、ハーバード美術館、フィラデルフィア美術館、LACMA、ハーシュホーン美術館などに収蔵されている。

今回の展示では、擬人化されたほうき、ぶどう、目玉、口を開けた額縁といった、スミスおなじみのモチーフがさらに姿を変える。人間、動物、植物が混ざり合った形は、固定された意味や分類に収まらず、比喩というより問いかけとして働く。労働を階級やジェンダーと結びつける枠組みに、単に挿絵として寄り添うのではなく抗う存在として描かれている。

タイトルには複数の意味が重ねられている。天文現象としての金星の太陽面通過、絵画における女性の身体の表象、そして愛の女神ヴィーナスが象徴する「つながり」と自然の創造力だ。スミスは身近な環境に目を向けつつ、ジャン=フランソワ・ミレーの農民画のような、社会が大きく揺れた時代の図像も参照する。

《The Locust II》では、ほうきが藁の中から立ち上がる人に近い姿となり、鎌を手にしている。モデルとなった19世紀絵画の受け身の裸婦像を反転させ、見られる側だった存在が見返し、刈り取る力を持つ主体へと変わる。《Only Human》では、それぞれ目玉を一つ宿した色鮮やかなぶどうの房が、隣の視線を必死に探す。視覚を知と価値の中心とみなす西洋の見方を揺さぶり、自己が逃れられない視線のなかで形づくられる様子を描く。

ポップ・アート、象徴主義、シュルレアリスム的感覚を行き来する画面は、透明な絵具の薄い層とグレーズを重ねて作られ、光を含んだような表面を生む。出品は油彩画に加え、オーク材を彫った《Harvesters Bench》の2点(DawnとDusk)。小さな11.5×9インチの作品から縦228.6cmの《Venus (Inner Vision)》まで大きさもさまざまだ。

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状況
まもなく終了
会期
9月17日 – 10月24日
作家
Emily Mae Smith
会場
Petzel
520 West 25th Street, New York, NY
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開館時間
火〜土曜 10:00〜18:00
見どころ
  • 《The Locust II》:藁から立ち上がり鎌を持つ、ほうきが変身した人型の像
  • 《Only Human》:目玉を宿したぶどうの房が互いの視線を探す
  • 《Venus (Inner Vision)》:高さ約229cmの大型油彩
  • オーク材を彫った《Harvesters Bench》2点(DawnとDusk)