展覧会 · Tina Kim Gallery · Chelsea
マイア・ルース・リー、ティナ・キム・ギャラリーで個展「Double Vision」
チェルシーのティナ・キム・ギャラリーで、マイア・ルース・リーの個展「Double Vision」が10月24日まで開催中。移住を「同時に見ること」として捉え、新作の絵画、彫刻、映像インスタレーションを展示する。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

チェルシーのティナ・キム・ギャラリーで、マイア・ルース・リーの個展「Double Vision」が開かれている。会期は2026年10月24日まで。同ギャラリーでの2度目の個展にあたり、2つの展示空間を使って、絵画、彫刻、織物、映像、廃材を用いた作品を見せる。
リーは1983年に釜山で生まれ、現在はサンフランシスコを拠点に活動する。弘益大学校でBFAを取得し、カナダ・バンクーバーのエミリー・カー美術デザイン大学でも学んだ。現在はサンフランシスコ大学で移民学の修士課程に在籍している。2019年のホイットニー・ビエンナーレに参加したほか、デンバー現代美術館やニューヨーク大学美術研究所などで個展を開いてきた。作品はホイットニー美術館、フィラデルフィア美術館、シラキュース大学美術館に収蔵されている。
展覧会名は、ホミ・K・バーバの『文化の場所』から取られた。移民は去った場所と今いる場所の両方に同時に身を置き、その二重の視点が暮らしを理解する条件になる、という考え方だ。リーはこれを比喩にとどめず、記憶を素材として扱う方法として作品に落とし込む。積み重なり、広がり、鏡のように映し合い、組み直される形を通して、移住を単一の出発点に還元せず、アイデンティティを絶え間ない蓄積として示す。
中心になるのは、「Bondage Baggage」の手法による新作絵画だ。スーツケースは単なる運搬具ではなく、記憶や不在、期待、願望がぶつかり合う容器として扱われる。出品作には《B.B. Constellation》(2026年、約277×467cm、アクリルインクとエナメル)や《B.B. Stem-Stack》、《B.B.Tetris》のシリーズがある。
立体では、縛った荷物の中身が取り出されたあとも、その形と表面の痕跡を残すラテックスの新作を発表する。韓国語で「移民カバン」を意味する이민가방の巨大な造形には、作家の家族を撮った映像のスチル写真が縫い付けられている。さらに、ネパールと韓国で両親が撮影したホームビデオを取り入れた映像インスタレーションが新たに制作された。
2019年に手がけた「スティール・グリフ」も再び登場する。ニューヨークの街から回収した建築の断片を組み合わせ、言葉と彫刻のあいだに位置する、どこか見覚えがあるのに読み解けない記号だ。今回は15点の鉄の作品による《Steel Glyph Vision Chart》(2026年、エディション6のうち1)が展示されている。
展示には文学翻訳者ピース・ピョンファ・リーによるテキストが添えられている。出発語と到着語のあいだで二重に見る翻訳の経験を軸に、過去と現在が重なる時間を語る内容だ。会場はウェスト21丁目525番地で、出身地と現在の居場所を同時に生きるという感覚を、ギャラリー全体で体験できる。
- 状況
- まもなく終了
- 会期
- 9月10日 – 10月24日
- 作家
- Maia Ruth Lee
- 会場
- Tina Kim Gallery
525 West 21st Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- 新作絵画《B.B. Constellation》(約277×467cm)と「Bondage Baggage」シリーズ
- ラテックスの新作彫刻と、家族の映像スチルを縫い付けた巨大な이민가방
- ネパールと韓国で撮られた両親のホームビデオを用いた新作映像インスタレーション
- 15点の鉄による《Steel Glyph Vision Chart》





