展覧会 · Almine Rech · Tribeca

ジェームズ・タレル、アルミン・レッシュ・ニューヨークで個展 同ギャラリー米国初、光の新作を含む15点超

光そのものを素材にしてきたジェームズ・タレルが、トライベッカのアルミン・レッシュで個展を開く。同ギャラリーとは13回目、米国では初の展覧会。新作のシャロー・スペース、グラスワークス、クロス・コーナーを含む15点以上。会期は2026年11月12日から2027年1月30日、入場無料。

文・NBT編集部 · 2026-10-22

ジェームズ・タレル、アルミン・レッシュ・ニューヨークで個展 同ギャラリー米国初、光の新作を含む15点超
James Turrell, Raemar, Blue, 1969. © James Turrell. Presented by the Tate Americas Foundation, partial purchase and partial gift of Doris J. Lockhart, 2013. Photo: ACMI — Almine Rech

トライベッカのアルミン・レッシュ・ニューヨーク(ブロードウェイ361番地)で、2026年11月12日から2027年1月30日まで、ジェームズ・タレルの個展が開かれる。30年以上にわたる協働のなかで同ギャラリーとは13回目の展覧会にあたり、米国で同ギャラリーがタレルを紹介するのはこれが初めてだ。オープニングは11月12日(木)の午後6時から8時。入場は無料で、予約もいらない。

タレルは1943年ロサンゼルス生まれ。1960年代から絵の具や石ではなく「光」そのものを素材にしてきた作家で、南カリフォルニアで生まれた「ライト・アンド・スペース」運動を代表する一人に数えられる。固体の塊のように見える光、ゆっくり色が移ろう部屋、刻々と変わる空を切り取る建築。形はさまざまだが、どの作品も見る人を静かな場所に置き、何を見ているかより「見る」という行為そのものへ意識を向けさせる。

今回は15点以上が並び、タレルの代表的なシリーズの新作が軸になる。ひとつは「シャロー・スペース」。部屋の中にもう一枚の壁を立て、その縁にできた細い隙間の奥から光を当てる仕組みで、壁が奥に浮いて見えたり、部屋の実際の奥行きがわからなくなったりする。もうひとつの「クロス・コーナー」は、部屋の角に光を当てて、そこに立方体があるかのように見せる作品群だ。歩いて角度を変えると形が立ち上がり、近づくとただの壁の光に戻る。さらにガラスを使った「グラスワークス」シリーズの新作も出る。ペース・ギャラリーは同シリーズについて、移ろう光の面が無限の奥行きの錯覚を生むと説明している。

展覧会ページには、1969年の《Raemar, Blue》が掲載されている。テートが所蔵するこの作品は、シャロー・スペースの最初期かつ重要な例とされ、仕切り壁の裏から放たれた青い光によって、壁が展示室の奥で宙に浮いて見える。半世紀以上前に始まった手法が、今回は新作として並ぶことになる。

ギャラリーとの縁は1989年にさかのぼる。アルミン・レッシュはこの年、パリの自身のギャラリーで、タレルにとってヨーロッパ初となるギャラリー展を企画し、ライト・ピース《Blood Lust》を紹介した。展覧会にあわせ、ギャラリーは2005年刊行のモノグラフ『Rencontres 9: James Turrell / Almine Rech』から、ブリュッセルとパリを結ぶ列車の中で収録した二人の対話の抜粋を公開している。

その対話でタレルは、クエーカー教徒の家庭に育ったことを語っている。礼拝は沈黙と出会い、内側へ入って光を迎えることだったという。子どもには1時間から3時間じっと座り続けるのがつらかったこと、一度はそれを馬鹿げていると思ったが、今は思っていた以上に影響を受けていると気づいたことも明かす。古い道具や機械を捨てずに使い続けるクエーカーの考え方にも触れ、「道具は自分がすることを知っている」と話す。暗い部屋で光と向き合わせるタレルの作品と、沈黙の中で光を迎える礼拝との近さが見えてくる対話だ。

ニューヨークでは、クイーンズのMoMA PS1に1986年のスカイスペース《Meeting》が常設され、天井に開いた四角い開口から空を見上げることができる。2013年にはグッゲンハイム美術館のロトンダ全体を光で包む《Aten Reign》が話題を呼んだ。アリゾナ州の死火山の噴火口を丸ごと肉眼の天文台に変える「ローデン・クレーター」は、1979年から続くタレル最大の構想である。

日本でも、香川・直島の地中美術館に《オープン・フィールド》《オープン・スカイ》など3点が恒久展示され、新潟・十日町には泊まれる作品「光の館」、金沢21世紀美術館には《ブルー・プラネット・スカイ》がある。日本で体験した人にとって、ギャラリーでまとまった新作を見られる機会は貴重だ。

光の作品は、写真では伝わりにくく、目が慣れるまでの時間も作品の一部になる。急がず、一点ずつ前に立って待ってみたい。ギャラリーはトライベッカのブロードウェイ沿い。ソーホーやチャイナタウンにも歩いて行ける距離だ。

場所

Google マップで開く公式ページ

会期

11月12日 – 1月30日これから

作家

James Turrell
見どころ
  • 同ギャラリーとは13回目、米国では初のタレル展
  • 新作のシャロー・スペース、グラスワークス、クロス・コーナーを含む15点以上
  • 11月12日(木)18〜20時にオープニング、入場無料・予約不要
  • クエーカーの家庭で育った経験を語る、2005年の対話の抜粋を公開