展覧会 · Almine Rech · Tribeca
ジオ・ジーグラー、アルミン・レッシュ NYで個展「テッセラクト」
アルミン・レッシュ・ニューヨークで、ジオ・ジーグラーの同ギャラリー4度目の個展「テッセラクト」が10月21日まで開催中。大画面の絵画、モノクローム、ブロンズ、エッチングの4つの表現で神話とAI時代を問う。
文・NBT編集部 · 2026-10-16
アルミン・レッシュ・ニューヨークでは、アーティストのジオ・ジーグラーによる同ギャラリー4度目の個展「テッセラクト」が、2026年10月21日まで開かれている。会場はトライベッカのブロードウェイ361番地。
展覧会は、互いに異なる四つの表現様式を行き来する構成になっている。ひとつは、文様がびっしりと重なる大画面のマキシマリスト絵画。ふたつ目は、骨格だけを残したような探索的な筆致のモノクローム作品。三つ目は「エッセンシャル・フィギュア」と呼ばれる、層を成す身体的なフォルムの絵画。四つ目は、動きを青銅に定着させたトーテム的な立体である。四つは同じ主題の変奏であり、ひとつが次を生み、同時に次へ圧力をかける関係にあるという。中心にあるのは単一の点ではなく、まだ名前のない未来へ開かれた窓のような空間だと、ペディ・エセックス博物館のキュレーター、ジェフリー・リッチモンド=モール氏は論じている。
着想の出発点は、オウィディウスの『変身物語』、『ギルガメシュ叙事詩』、聖書といった人類最古級の物語の読書だった。作家は文様の密な絵画を「彩飾写本」、作品全体を神経系に働きかける「聖遺物」と呼ぶ。画中にはマサッチョの「楽園追放」のアダムとイヴ、ルーベンスの「十字架降下」のキリスト、メムリンクの「最後の審判」の虹の輪などが響き合い、ピカソ、ポロック、ジャスパー・ジョーンズ、ラウシェンバーグ、ライマンへの参照も読み取れる。モノクロームは古代地中海の黒絵式・赤絵式陶器の「線による寓話」に学んだものだ。
とりわけ重要な主題が「追放」である。AIや機械学習が人間の労働や気候の未来に問いを投げかける現在を、楽園追放の物語に重ねる。追放の先には変容があり、炎に焼かれ、あるいは炎で変えられていく人物像が随所に現れる。金地の背景から見つめる自画像風の顔は、荊冠のように乱れた髪で「悲しみの人」の図像を思わせ、作家自身が画面の混沌の中で描き、思索する姿も登場する。
出品作には、2026年の油彩《Synthetic Expulsion 1》《Synthetic Expulsion 2》、約2.4メートル大の《Anatta and Eden》、2021〜26年制作の《The Descent From The Cross》、連作《Mind's Eye》、鋳造ブロンズの《Figure In The Garden: Temptation》《Those Who Go》などがある。展覧会の各側面を凝縮した、銅版エッチングの連作(各エディション10+5AP+3HC)も並ぶ。AIが均質な視覚をもたらしかねない時代に、多様な視覚言語を示そうとする試みである。
- 状況
- まもなく終了
- 会期
- 9月16日 – 10月21日
- 作家
- Zio Ziegler
- 会場
- Almine Rech
361 Broadway, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- 《Synthetic Expulsion 1・2》(2026):AI時代の「追放」を描く油彩
- 《Anatta and Eden》:約2.4m大の大画面作品
- 鋳造ブロンズ《Figure In The Garden: Temptation》《Those Who Go》
- 展覧会の4つの側面を凝縮した銅版エッチング連作





