展覧会 · Bortolami · Tribeca
片山真妃と小野光、NYトライベッカのボルトラミで二人展
トライベッカのBortolami「The Upstairs」で、片山真妃と小野光の二人展が10月30日に開幕。和田三造の色彩書に基づく絵画と、日本各地の粘土による「Object for Painting」を並べ、絵画の概念を問う。12月19日まで。

トライベッカのギャラリー、Bortolami(39 Walker Street)の「The Upstairs」で、片山真妃と小野光の二人展「As a moment and as an accumulation」が2026年10月30日に始まる。会期は12月19日まで。企画は画家のリチャード・オルドリッチが手がけた。二人はいずれも東京を拠点とし、多摩美術大学で油画を学んだ作家で、絵画を技法の集まりではなく概念的な枠組みとして捉える点が共通している。
片山真妃は1982年東京生まれ。色、寸法、構図を体系的に調べながら絵画を組み立てる。拠り所にしているのは、1930年代に刊行された和田三造の『配色辞典』だ。日本の伝統的な色彩感覚と西洋の色彩理論を結びつけた書物である。片山はこの本の配色を絵具で手調合して再現し、関連する2枚のキャンバスに塗り分け、濡れた面同士を押し当てる。この転写の手法によって、色と大きさの関係を探りつつ、偶然も作品に入り込む。キャンバスには日本の規格寸法も用いられ、色の伝わり方や理解のされ方を考えさせる構成になっている。
小野光は1990年ドイツのリューネブルク生まれ。代表的な連作「Object for Painting」は、触覚的な絵画として構想された粘土の立体群である。日本各地から集めた生の粘土が絵具とキャンバスの両方の役割を担い、土の色や質感、形が互いに作用する。切る、溝を掘る、折る、取り除くといった工程を経て、自然乾燥させ、ニスで仕上げる。素材の生々しい感触を残したまま、表面を絵画として扱う試みだ。出品作の一例に、素焼きしていない粘土による《Object for Painting No. 216》(2026年、12×12×7.5cm)がある。
二人の仕事を結ぶのは、自然と知覚への関心だ。日本の色名には、萌黄色(芽吹く木の黄緑)や納戸色(納戸の灰青色)のように、場所や暮らしと結びついたものが多い。展覧会では、こうした具体的な分類のあり方を、先住民族の精緻な植物知識と語彙を論じた人類学者クロード・レヴィ=ストロースの仕事になぞらえている。素材の質感や空間感覚はもの派を、規則に基づく構造は1960年代のシステムアートを思わせるが、作品を小さな、個人的な鑑賞体験の尺度へ置き直している点が現代的だ。
小野はこの年、ニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナーでも展示に参加している。開館は火曜から土曜の午前10時から午後6時で、予約でも入場できる。
- 見どころ
- 片山真妃:和田三造『配色辞典』の配色を手調合し、2枚のキャンバスを押し合わせて転写
- 小野光「Object for Painting」:日本各地の粘土を切り、折り、乾燥させニスで仕上げた壁の立体
- 萌黄色や納戸色など、日本の色名と自然観察の結びつきを手がかりにした構成
- 企画は画家リチャード・オルドリッチ







