展覧会 · Bortolami · Tribeca
ユアン・ユアン、ボルトラミで米国初個展
ベルリン在住の画家ユアン・ユアンが、トライベッカのBortolamiで米国初の個展を開催。銭湯や温泉の廃墟、水生生物、ブリューゲルの引用を、ウェット・オン・ウェットの液状の画面で描く新作絵画を紹介する。10月24日まで。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

トライベッカのギャラリーBortolamiで、中国出身の画家ユアン・ユアン(袁远)による米国初の個展が開かれている。会場は39 Walker Streetの「The Upstairs」。会期は2026年10月24日まで。
ユアンは1973年、中国・浙江省生まれで、現在はベルリンを拠点に活動する。これまでに上海の Qiao Space、広州のXY Gallery、ベルリンのマルティン・グロピウス・バウ、香港のエドワード・マリンギャラリー、横浜美術館、シドニーのホワイト・ラビット・ギャラリーなどで展示を重ね、2018年の第12回上海ビエンナーレ、2011年の第5回成都ビエンナーレ、2010年の第1回南京ビエンナーレにも参加した。
出品されるのは、見慣れた像や環境が溶けていくさまを描いた新作絵画だ。人工的な風景、水、水生生物といったモチーフに、アジアの都市の日常的な光景と西洋美術史のイメージが重なり、精緻で動きのある超現実的な世界をつくる。細密な筆致と大きく身振りの強い筆致を併用し、「ウェット・オン・ウェット」の技法で、画面は液体のように見える。近づくと形はほどけ、色と光の揺らぎに戻っていく。
水は全作品を貫く要素で、画面のなかでしみ出し、こぼれ、滴りながら、描かれた空間の崩壊を早める。複数の作品が、荒廃した日本の銭湯や温泉を題材にしている。ユアンが繰り返し取り上げてきた主題で、共同体の暮らしの記憶と、その変化や消失を、想像上の廃墟として表している。
《Clack-Clack》は、無人の銭湯の壁にヴィンテージの西洋のビーチ風景がモザイクとして描かれた作品。三連画《Driftscape》では、幾層もの水たまりと古びたタイル、中国の水墨の松を思わせる形が重なり、方向感覚のない散策を想起させる。《Slip》は市場の光景に、ブリューゲル(父)の《反逆天使の墜落》(1562年)の構図を重ねる。魚介のような生き物が画面を転がり落ち、罪深い「墜落(fall)」を濡れた「滑り(slip)」に置き換える。滑ることは必ずしも転落ではない、という軽やかな視点が示される。
開廊は火〜土曜の10時〜18時、予約でも対応する。
- 状況
- まもなく終了
- 会期
- 9月9日 – 10月24日
- 作家
- Yuan Yuan
- 会場
- Bortolami
39 Walker Street, New York, NY
Google マップで開く - 開館時間
- 火〜土 10:00〜18:00、予約制でも対応
- 見どころ
- 《Clack-Clack》:無人の銭湯に西洋のビーチ風景のモザイクが現れる
- 三連画《Driftscape》:水たまり、古びたタイル、水墨の松を思わせる形
- 《Slip》:ブリューゲル《反逆天使の墜落》を市場の光景に置き換えた作品
- 荒廃した銭湯・温泉を描く、ウェット・オン・ウェットの液状の画面





