展覧会 · Joan B. Mirviss · Upper East Side

井口大輔、ジョーン・B・ミルヴィスで個展「Patina of Time」

栃木出身の陶芸家・井口大輔が、アッパー・イースト・サイドのジョーン・B・ミルヴィスで個展を開催。灰と金属酸化物、銀泥の線文による新作約30点を展示。会期は10月30日まで。

文・NBT編集部 · 2026-10-16

井口大輔、ジョーン・B・ミルヴィスで個展「Patina of Time」
Joan B. Mirviss

アッパー・イースト・サイドの日本陶芸専門ギャラリー、ジョーン・B・ミルヴィスで、井口大輔(1975年生まれ)の個展「Patina of Time」が開かれている。同ギャラリーでの国際的なソロデビューから10年を経ての再登場で、会期は2026年9月10日から10月30日まで。

井口は栃木県の出身。同県が生んだ加守田章二(1933–1983)と和田守弘(1944–2008)という二人の陶芸家の系譜を受け継ぎ、器の形と表面を一体のものとして考える作風を築いてきた。ゆるやかに湾曲し、ときに輪花のようなローブ状の起伏をもつ器の上を、細い線の文様が形に沿って波打つように走る。地域の造形の伝統を踏まえつつ、井口自身のテーマへと発展させた仕事だ。

中心にあるのは「時間」である。作家は「形をつくるだけでなく、記憶や時の流れに思いを向けさせる作品をつくりたい」という趣旨を語る。錆びた鉄、苔むした岩、遺跡から出土する古い陶器などに着想を得て、風化し侵食されたような肌合いを手間をかけて育てていく。

工程は次のとおり。茨城県の田んぼの土を用い、紐づくりで器の形を立ち上げる。素焼きののち、灰と金属酸化物をかけて約1300度で本焼成し、ワイヤーブラシで磨いて独特の質感を引き出す。そこへ、胎土をマスキングして銀泥で描いた精緻な線文を重ね、より低い温度で最後の焼成を行う。線は器の曲線と平行に進むかと思えば、離れて緊張感のあるリズムを生む。太古の遺物のようでありながら、きわめて現代的でもある表情が特徴だ。

出品は同ギャラリーのために制作された新作約30点。タイトルはいずれも「灰被り銀泥」の器が中心で、花器などの器形のほか、茶碗や香炉も含まれる。ギャラリーは39 East 78th Street, Suite 401にあり、平日11時から18時まで開いているほか、予約でも見学できる。展覧会はオンラインでも公開されている。

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状況
開催中
会期
9月10日 – 10月30日
作家
Iguchi Daisuke
会場
Joan B. Mirviss
39 East 78th Street, New York, NY
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開館時間
月〜金 11:00〜18:00、予約制でも観覧可
見どころ
  • 灰と金属酸化物を約1300度で焼成し、ワイヤーブラシで磨いた風化したような肌合い
  • マスキングと銀泥による精緻な線文が器の曲線と呼応
  • ギャラリーのために制作された新作約30点(器、茶碗、香炉)
  • 茨城県の田んぼの土を使った紐づくりの造形