展覧会 · Nara Roesler · Chinatown
NYチャイナタウンのナラ・ロエスラー、ヴィック・ムニーズ企画「the other」
ブラジルの画廊ナラ・ロエスラーのNY店で11月5日から、ヴィック・ムニーズ企画のグループ展「the other」が開幕。大岛ではなく草間…ではなく、大田福子でもなく、オオタケ・トミエら20人超が「他者の視点」を巡る作品を並べる。
文・NBT編集部 · 2026-10-31

ブラジル発の画廊ナラ・ロエスラーのニューヨーク店が、11月5日から2027年1月9日まで、グループ展「the other」を開く。企画はブラジル出身のアーティスト、ヴィック・ムニーズ。ナラ・ロエスラーが画廊として歩み始めて50年になる記念企画の締めくくりにあたる。
出品作家はアントニオ・ディアス、ジュリオ・ル・パルク、大竹富江(トミエ・オオタケ)、ダニエル・ビュレン、リチャード・ロング、シーラ・ヒックス、ハインツ・マック、アイザック・ジュリアン、JR、カオ・ギマランエス、ジョナタス・デ・アンドラーデ、アメリア・トレド、カルリート・カルヴァーリョス、マルコ・マッジ、アレクサンドル・アレチェア、グザヴィエ・ヴェイヤン、アンジェロ・ヴェノーザ、ノット・ヴィタル、マリア・クラビン、マルコ・A・カスティージョ、ホセ・ダヴィラ、そしてムニーズ本人。年代も表現も異なる作家が並ぶ。
出発点は、ロシアの思想家ミハイル・バフチンの「視の過剰」という考えだ。人は他人について、本人には見えない部分を見ている。ムニーズはこれを制作に重ね、作品の意味が作者の意図を超えて、見る人の経験によっても決まると捉える。砂糖やチョコレート、廃棄物で既知のイメージを作り、撮影してきた彼の仕事とつながる視点である。ムニーズは2012年に光学的な錯視を扱う「Buzz」、2018年にはルーカス・ブラロック、バーニー・クーロクと「Screenspace」を同画廊で企画している。
作品では、ディアスの《Black Mirror》(1968)が、化粧板を張った木で黒い物体を作り、映り込みをぼかす。マッジの《Global Myopia (Parking Mirror)》(2010)は凸面鏡に切り込みを入れて像に介入する。トレドの《Mundo de espelho》(1966)は、切り抜いて穴を開けたステンレス6枚で周囲の像を分断し増殖させる。デ・アンドラーデの《Senhorio, por Reginaldo》(シリーズ「Eu, mestiço」、2017)は肖像と文章を組み合わせ、社会的・人種的な通念が人の見え方を左右する様子を扱う。ギマランエスの《Retroatos #01》(1998/2016)は20点の写真で構成される。
ほかにムニーズの雑誌のイメージのシリーズ、ジュリアンのリナ・ボ・バルディを扱う写真、JRの《Hands, composition #7》(2022)、クラビンの油彩《Costela de Adão》(2022)なども出る。
ブラジルの画廊がニューヨークにあるという立場も主題に重なる。ムニーズは、異国の文脈に置かれた存在であることに触れている。ジュリア・クリステヴァの他者論を踏まえ、他者を自分と違う人としてだけでなく、自分の中でまだ認識していないものとして考える展覧会だ。
会期
作家
- 見どころ
- 大竹富江(トミエ・オオタケ)ら20人超が参加するグループ展
- アントニオ・ディアス《Black Mirror》(1968)など、鏡と映り込みを扱う作品
- ジョナタス・デ・アンドラーデ《Senhorio, por Reginaldo》(2017)の肖像と文章
- JR《Hands, composition #7》(2022)とマリア・クラビンの油彩







