展覧会 · The Future Perfect · NoHo
アニナ・メジャー、NYノホーのザ・フューチャー・パーフェクトで初のNY個展
バハマ出身のアニナ・メジャーがNYで初の個展。ヤシの葉を編む伝統から生まれた編みの言語を、陶・ガラス・光による照明や鏡などの機能的な彫刻へ展開する。会期は2027年1月1日まで。
文・NBT編集部 · 2026-11-04
バハマ出身のアーティスト、アニナ・メジャーが、NYで初となる個展「Lasting Radiance」をノホーのデザインギャラリー、ザ・フューチャー・パーフェクトで開いている。会期は2026年11月3日から2027年1月1日まで。メジャーの制作の根には、バハマに伝わるヤシの葉の編み工芸がある。この技法は祖母で麦わら編み職人のサフォラ・ニューボールドから教わったもので、受け継いだ手の動きを、陶やガラスによる持続的な彫刻の形へ置き換えてきた。今回はその「編み」の言語をデザインの領域へ広げ、灯りをともし、光を映し、住まいの中に置かれる機能的かつ彫刻的な作品を並べる。
展示の中心は、天井から吊るされた大作「Tears of a Light Catcher」。釉薬と染料を施した炻器(せっき)に溶かしたシーグラスを組み込んだ、編み構造の陶製ライト6点と、吹きガラスの雫が星座のように連なる。カリブ海の観光市場で、手工芸品が頭上にびっしり吊るされている光景が着想源だという。光は編み目を通り抜け、気泡を含んだ涙形のガラスに反射して、明と暗が交錯する。繊細さと輝きは対立しないという考えが、この作品に込められている。
タウンハウスの暖炉の上には、鏡「Seen」が掛かる。炻器のフレームの輪郭は、メジャーが生まれたニュープロビデンス島の形にゆるやかに沿い、同時に目の形も思わせる。外を見る目と、視線を返す鏡。見る人は観察者であると同時に被写体となり、鏡をのぞくという日常の行為が、自分がどこから見ているのかという問いに重なっていく。
棚にはくぼみごとに彫刻が収まり、「Salt Water Tears」「Poured at the Root」「Black Sun」「Wounds into Silver」などが並ぶ。涙、天体、変容、再生といった詩的なイメージでつながる連作で、1点ずつ向き合うことも、全体の関係を探ることもできる。出品リストには「Wishing Well II」「Mercury Rising」も含まれ、いずれも展示中だ。
メジャーはサルバドール・ダリの「メイ・ウエストの部屋」を、彫刻と家庭空間の遊び心ある関係の参照点に挙げる。室内を中立な背景とせず、作品、家具、建築の境界が次第にあいまいになる環境をつくるという試みだ。日用品になっても彫刻としての意味は失われない。本展は、その近さが親密さや発見をもたらすことを示している。
- 見どころ
- 天井から吊るされた陶製ライト6点とガラスの雫の大作「Tears of a Light Catcher」
- ニュープロビデンス島の形をたどる暖炉上の鏡「Seen」
- 棚のくぼみに並ぶ「Black Sun」「Salt Water Tears」などの連作彫刻
- 祖母から学んだヤシの葉の編みが生む陶とガラスの造形







