展覧会 · Andrew Kreps Gallery · Chinatown
エイトール・ドス・プラゼレス、NYチャイナタウンで初の個展
ブラジル・サンバの重要人物で画家のエイトール・ドス・プラゼレスが、NYチャイナタウンのアンドリュー・クレプス・ギャラリーでNY初の個展。1944〜66年の作品を紹介する。会期は11月6日〜12月19日。
文・NBT編集部 · 2026-10-24
ニューヨークのチャイナタウンにあるアンドリュー・クレプス・ギャラリーで、11月6日から12月19日まで、ブラジルの画家エイトール・ドス・プラゼレス(1898〜1966)の展覧会が開かれる。ニューヨークで彼個人に焦点を当てた展覧会はこれが初めて。出品されるのは1944年から亡くなる1966年までに制作された作品だ。会場は394 Broadwayと22 Cortlandt Alleyの2か所である。
プラゼレスはリオデジャネイロに生まれ、リオで亡くなった。ブラジルで奴隷制が廃止されてから約10年後の生まれで、父と、音楽家だった叔父イラリオ・ジョヴィーノ・フェヘイラから音楽を学んだ。14歳で初めて作曲し、やがてリオの「小さなアフリカ(ペケナ・アフリカ)」と呼ばれる地区の中心人物になる。デイシャ・ファラール、マンゲイラ、ポルテーラといった、今では象徴的なサンバ学校の設立にも関わった。絵画、ファッション、音楽にまたがって活動した多才な人物で、20世紀リオの文化を語るうえで欠かせない存在とされる。
絵を描き始めたのは1930年代半ば。民衆の祭り、アフロ・ブラジル宗教、サンバ、ボヘミアンな暮らしなど、黒人文化の場面を描いた。色彩は鮮やかで構図にはリズムがあり、平面的な人物たちが勢いよく動く独自の画面をつくった。喜びだけでなく、喪失や苦しみも描かれ、社会的不平等の中で生きた黒人男性としての体験と切り離せない。カポエイラやサンバ、愛情の場面とともに、警察による弾圧や、抑圧されたアフロ・ブラジル宗教の伝統も記録しており、その実践には政治的な側面がある。植民地的なまなざしで描かれてきた従来の黒人像に対し、日常を丹念に観察して被写体の尊厳を保とうとした点が大きな転換だった。
国際的な評価も早かった。1942年にニューヨーク近代美術館(MoMA)が作品を購入し、1944年にはロンドンのロイヤル・アカデミーで開かれたブラジル美術の戦時救援展に、唯一の黒人作家として参加した。第1回サンパウロ・ビエンナーレに出した《Moenda》を機に、1953年の第2回では特別展示が組まれた。1952年のヴェネツィア・ビエンナーレにも参加し、1966年にはダカールの第1回世界黒人芸術祭でブラジル代表を務めた。1964年の軍事クーデター後は、1943年から出演していたラジオ・ナシオナルを解雇され、検閲の初期の犠牲者となったが、亡くなるまで制作を続けた。
作品はMoMA、ポンピドゥー・センター、エル・ムセオ・デル・バリオ、ソフィア王妃芸術センター、MASPなどに収蔵されている。2025年にはサンパウロ・ビエンナーレや、バンコ・ド・ブラジル文化センターでの回顧展でも紹介された。本展はアルメイダ・エ・デールの協力で実現した。
- 見どころ
- NY初となるプラゼレス個展、1944〜66年の作品を展示
- サンバとペケナ・アフリカの暮らしを描いた鮮やかな絵画
- MoMAやポンピドゥー・センターに作品が収蔵される巨匠
- 394 BroadwayとCortlandt Alleyの2会場






