展覧会 · Anton Kern Gallery · Midtown East
マーカス・ジャマル、アントン・カーン・ギャラリーで新作個展「Booty」
マーカス・ジャマルが、ミッドタウンのアントン・カーン・ギャラリーで新作の絵画とインスタレーションを発表。海賊の神話と植民地主義の歴史を重ね、スワロフスキーの山が床に広がる。10月31日まで。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

アントン・カーン・ギャラリーで、マーカス・ジャマルの新作展「Booty」が開かれている。会期は2026年10月31日まで。同ギャラリーでの個展は3回目にあたり、2026年1月にギャラリーで共同キュレーションを手がけたグループ展「GIVE ME TWO」以来の発表となる。出品は新作の絵画とインスタレーションだ。
テーマは海賊である。海賊は、既成の権威に背を向けて自らの動機で動く者として、また王政への抵抗と自由の象徴として、しばしばロマンティックに語られてきた。しかしその歴史は、ヨーロッパの植民地拡大と切り離せない。大西洋を渡る物資や奴隷とされた人びと、植民地の富の移動が海賊行為を支えていた。ジャマルは、所有や商取引の秩序を揺さぶるアウトローという幻想と、そのイメージを生んだ歴史の暴力を、同じ画面に併存させる。遊び心のある不条理さと、緊張をはらんだ複雑さが同居する場面である。
作品は、広い色面を背景にした想像上の情景と、引き伸ばされたように歪む人体というジャマルの作風を引き継いでいる。木製の義足、鉤手、剣、つばの広い帽子といった図像は、ハリウッド映画やポピュラーカルチャーが形づくった海賊像、たとえばスティーヴンソンの『宝島』に登場する冒険者の姿に由来する。人物は大砲を撃ち、板の上を歩かされ、剣を掲げるなど、文学や映画が用意した場面を演じている。手足は圧縮され、ねじれ、プロポーションが崩れている。バンダナ、ジーンズ、ジャケットといった現代の服装も描かれ、歴史上の肖像ではなく、役を演じる代役であることを示している。
出品作には《Captain Hook》《Walking the Plank》《Woman in Piracy》《Black Caesar》《Pirate Portrait》《Ice Bath》《Purple Lady》などがあり、《Booty (1)〜(3)》も並ぶ。
タイトルの「Booty」は、海賊が奪う財宝を指すと同時に、現代のスラングで欲望や報酬、所有の対象としての身体を意味する。ギャラリーの床には、スワロフスキーのクリスタルが積み上げられ、略奪を待つ彫刻的な山をなしている。
会場はミッドタウン・イーストの16 East 55th Street。開館は月曜から金曜の午前10時から午後6時。
- 状況
- 開催中
- 会期
- 9月8日 – 10月31日
- 作家
- Marcus Jahmal
- 会場
- Anton Kern Gallery
16 East 55th Street, New York, NY
Google マップで開く - 開館時間
- 月〜金 10:00〜18:00
- 見どころ
- 床に積み上げられたスワロフスキー・クリスタルのインスタレーション
- 《Walking the Plank》《Captain Hook》など、海賊の図像を用いた2026年の新作絵画
- バンダナやジーンズ姿で海賊を演じる、歪んだ人体の人物たち
- 《Booty (1)〜(3)》というタイトルを冠した作品群





