展覧会 · Anton Kern Gallery · Midtown East

マーゴット・バーグマン、アントン・カーン・ギャラリーで個展「On the other hand」

マーゴット・バーグマンのNY5度目の個展。2012〜14年の未公開作と2015〜19年の大型肖像画を組み合わせ、古物店の絵への加筆から白いキャンバスへの転換までを追う。会期は10月31日まで。

文・NBT編集部 · 2026-10-16

マーゴット・バーグマン、アントン・カーン・ギャラリーで個展「On the other hand」
Anton Kern Gallery

ミッドタウンのアントン・カーン・ギャラリーで、マーゴット・バーグマンの個展「On the other hand」が開かれている。ニューヨークでの個展は今回が5度目。2012〜2014年に描かれ、これまでニューヨークで公開されたことのない絵画群と、2015〜2019年の大型の肖像画が並び、画風が変わっていく流れを一度に見られる構成だ。

バーグマンは1990年代半ばから2000年代後半にかけて、シカゴの古物店で買った無名の作者による風景画や静物画を出発点にしてきた。既存の絵に即興で筆を入れ、森の開けた場所を頭部の輪郭に見立てたり、花束や納屋、花瓶を目や赤い唇に変えたりして、画面の中に顔を浮かび上がらせた。こうした制作で「見る力」が磨かれるにつれ、もっと自由に描きたいという思いが強まる。2012年には古物店の絵を脇に置き、白いキャンバスを使い始めた。

白紙の画面と自由に選べるサイズによって、筆づかいは表現主義的で奔放になった。森の中のスタジオで一人制作し、ジャズの即興のように、音を引きずるような曲線や反復する模様を重ねている。花、水平線、格子、黄色、草の緑、月光の青といった屋外のモチーフも入り込み、形は植物・動物・人物のあいだを行き来する。《Parade》では二輪の花がコントラポストの姿勢で向き合い、《Candy Man》では漫画風の手が笑う植物にキャンディを差し出す。《Lucky Lady》では繰り返される菱形の模様がサイコロに変わる。その後は《Hunger》のように、宙に浮く唇を見物人が囲む超現実的な場面へ進み、顔でできた顔を描いた《Gloria》が大型肖像画への橋渡しとなった。

2015〜2019年の肖像画に描かれるのは、想像上の女性たちだ。写実的な目と口、緑の殴り書きのような髪、薄く溶いた絵具の肌色が一つの画面で同居し、ダダのコラージュを思わせる歪んだ美しさをつくる。白い下地がグラフィティのような線の下からのぞき、厚塗りで隠された修正跡もない。むらや失敗はむしろ生かされる。出品作のうち最も新しい《Pupa》(2019)は、顔立ちが花束のかすかな気配へ溶けていく作品で、形成と崩壊のあいだにある女性像というテーマを象徴する。バーグマンの絵は完成や完璧を目指さず、どれも糸の端を残したまま終わる。

出品作は《Rebel》《Gertrude》《Sherry》《Heather》《Liz》《Hillary》《Patty》《Bobbi》など、人名を冠した肖像と、《Tempest》《Clatter》《Mars Black》《Liquid Vanilla》《Fragments》といった2012〜2013年の作品を含む。会期は2026年10月31日まで。開館は月〜金曜の10時〜18時。

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状況
開催中
会期
9月8日 – 10月31日
作家
Margot Bergman
会場
Anton Kern Gallery
16 East 55th Street, New York, NY
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開館時間
月〜金 10:00〜18:00
見どころ
  • 2012〜14年の未公開作と2015〜19年の大型肖像画を同時に展示
  • 《Parade》《Candy Man》《Lucky Lady》など、植物と人物が入れ替わる初期作
  • 顔でできた顔《Gloria》と、花束へ溶けていく《Pupa》(2019)
  • 古物店の絵への加筆から白いキャンバスへ移る転換点