展覧会 · Nara Roesler · Chinatown
大岡トミエ、ナラ・ロエスラー・ニューヨークで晩年の白い絵画と彫刻を展示
京都生まれでブラジルを拠点に活躍した大岡トミエ。晩年の白い絵画と白い管状鋼の彫刻、1960年代初頭の「盲目の絵画」を結ぶ個展が、チャイナタウンのナラ・ロエスラーで10月24日まで開催中。
文・NBT編集部 · 2026-10-16

京都に生まれ、1936年にブラジルへ渡った大岡トミエ(トミエ・オオタケ)の個展「The Ultimate Works」が、チャイナタウンのナラ・ロエスラー・ニューヨークで開かれている。会期は10月24日まで。残りは1週間ほどだ。キュレーションは、同ギャラリーの芸術監督も務めるルイス・ペレス=オラマス。
大岡は1950年代、日本人画家の菅野圭介のもとで絵を学び始めた。当初は具象的な習作に取り組んだが、のちに抽象へと進む。1960年から63年にかけては、批評家マリオ・ペドロサの示唆を受け、目隠しをして描く「盲目の絵画」を制作した。直感や身体の感覚に委ねる試みである。70〜80年代には有機的な形、単色の広がり、微妙な色の階調を特徴とする作風を築き、のちに彫刻や公共空間にも展開した。サンパウロ・ビエンナーレに6回出場してイタマラチー賞を受賞したほか、ヴェネツィア、東京、ハバナ、クエンカなど計20の国際展に参加している。作品はMoMA、メトロポリタン美術館、テート・モダン、サンフランシスコ近代美術館、M+などに収蔵されている。
本展の軸は、キャリアの出発点と終着点を結ぶことにある。目を覆った暗闇から新しい見え方を探った初期の試みと、生涯最後の年に描かれた、厚く不透明な白い画面。ペレス=オラマスは、この白を単なる「最後」ではなく、百年に及ぶ仕事が凝縮された「究極」の境地として読み解く。大岡の没年にあたる2014年ごろ、100歳を迎えた作家は白一色の作品群を集中的に生み出した。
白い絵画では、絵具が幾層にも重なり、形が画面から浮かび上がる。遠目には単色の面だが、近づくと筆の跡が起伏となり、絵の上に影を落とす。ほとんど彫刻のような質感だ。この筆の動きは、白い管状鋼による彫刻にも引き継がれる。うねり絡み合う形は空中に張られた一本の糸のようで、光と影が筒の表面で移ろう。絵筆のひと振りを立体として見るような体験になる。
展示作品には、1965年の油彩(135×110cm)、2014年のアクリル画(120×150cm)、2006年に自動車用塗料で仕上げた管状炭素鋼の彫刻(175×210×125cm)などが含まれる。日本に生まれ、ブラジルで制作を続けた作家の最終章を、ニューヨークで見られる機会だ。
- 状況
- まもなく終了
- 会期
- 9月10日 – 10月24日
- 作家
- Tomie Ohtake
- 会場
- Nara Roesler
91 Walker Street, New York, NY
Google マップで開く - 見どころ
- 最晩年(2013〜14年頃)に描かれた、厚塗りの白一色の絵画群
- 白い管状鋼による、宙に浮く線のような彫刻
- 目隠しで描いた1960〜63年の「盲目の絵画」との対比
- 京都生まれの作家のキャリアを、始まりと終わりから読み直す構成





